「明日香ちゃん、ごめんなさい・・・・・・・・・・。」







































「なんなのよ!!一体全体もうっ!!!!」







明日香は時の都『朝歌』にて、生まれて初めて経験する人ごみにもみくちゃにされながらひとり声を荒げていた。

























「君が玉を取り戻す?そういったのかね、今?」


















突然の明日香の発言に、ある総主が信じられないといった表情で聞き返す。




「はい。」



その返事にまるで珍獣を見るかのような目でアスカを見た後、総主達は一斉に吹き出した。



「ふははははは!!」



さすがの明日香もこの脈絡のない嘲笑には耐えかねて、思わず噛み付いた。



「なぜにそんなにお笑いになられるのですか?!」


「いや、すまない。何せ君が何も知らないまま言うのがおかしくてね。」



と涙目になりながら答える総主。




「何も知らない、と仰いますと?」


「そうだな・・・・・・・。まず初めに聞くが、君は人間界に出たことがあるかね?」



「ありません。」




「だろうな。そうでなくば、さっきのような発言は出来ないものな。」



「いいかね、明日香君。人間界というのはね、君が今まで暮らしてきたここ崑崙とは比べ物にならないほど大きいのだよ。」



「左様。あのような広い世界で人一人見つけるなど、大海で蟻一匹を探すようなものだ。」



総主達の口をついて出てくる辛辣な言葉。そして・・・・・





「でも『人間』である君になら、それは可能かもしれないな。」




「そうか、そういえば君は『人間』だったね。」




「なるほど、『人間』ならばあの世界でも平気だろうしな。」





『人間』と言う部分を誇張された言葉に含まれた大きな「とげ」・・・・・・。そしてそれは彼らが決して自分を同じ仲間としては見ていないと明日香が悟った瞬間でもあった。




あまりの悔しさに、明日香は思わず下唇を噛んだ。





















「しかし、我らがいくらが今あれこれいったとて詮無き事。」




「そうだな、このような重大かつ難しい案件は我らでは到底採決できんからな。」














「ではいったい誰に許可を仰げばよろしいのですか?」





「どなたにってね君ぃ、決まっているだろう。この仙界での最終的な決定者は・・・・・」






そこで言葉を切った総主は無言のまま視線をある方向へ向けた。




それにつられて明日香も、そしてほかの総主たちも皆一点に視線を向けた。

















「賢仙明日香。」




元始天尊の低い声がこだまする。




それに反応して、アスカは緊張でゴクッと音を立ててつばを飲み込んだ。





「汝の人間界での探索の件、許可しよう・・・・。」











一瞬の静寂、そして・・・・・・





「何故です!?何故かような者にそのような大任を許可するのです!?!」
















明日香が喜ぶより先にその静寂を破ったのは、総主の一人であった。






しかし意気込んで発言したまではよかったが、元始天尊に睨まれた瞬間一瞬にして萎縮しきってしまった。




「あの玉は私にとっても、そしてこの仙界にとっても大事な宝だ。それを取り返してくると言っている者を拒否するいわれはあるまい?・・・・・・それとも、君が行って取り返してくるかね?」





萎縮したところで更なる追い討ちをかけられた総主は、顔中に汗をかきながら苦笑いでそれを拭っていた。




「賢仙明日香。」



「はい。」



「今言ったとおり、あの玉はとても大事なものだ。必ず取り返してくれたまえよ。」



「はいっ!!!」




緊張から解き放たれたアスカの元気な返事が議場いっぱいに木霊した。
































「そう、忘れるところだった。君、彼女にあれを・・・・。」





しばらく明日香が喜ぶ様を無言で見ていた元始天尊は、急に何かを思い出したかのように呟くと、先ほど自らが睨みつけた総主の隣へと指示を出す。



「あっ、はい。」






元始天尊から指示を受けた総主は、何やら手元のキーボードらしきものをカタカタと鳴らしたかと思うと、明日香の真上からシャボン玉のような球体に包まれた一通の手紙らしきものが降りてきて、明日香のまん前で止まった。





「これは・・・・?」





当然のごとく返ってきた明日香の質問に、落ち着いた口調でその総主は答えた。






「彼女、・・・・・・・・つまり君の母親代わりであった竜吉匡壺公主は、姿を消す前に2 通の手紙を残していたのだよ。一通は我々総主や元始天尊さまに、そしてもう一通がその手紙なのだよ。」




「ですが、それを何故私に?」




そのアスカの質問に、別の総主が付け加える。





「我々総主くらいになると、ある人以外には触らせないようにしたり出来るんだよ。そのシャボン玉のようにね。そしてそれは我々の誰もが見ることが出来なかった・・・・。だから必然的に君宛にって事なのだよ。」








「ママが・・・・・・・私に!?!?」

















(続)


















後書き

どもどもどもども。WASYAです。

今回もまたもや早くに完成してしまいました(奇跡(w))。


今回かいてて自分で一番違和感があったのが、何気に&絶対にありえないほどに優しいキー○さん(笑)。自分で書いてて妙に悪寒がしました(爆)。


今回で一応仙界でのお話はほぼ終わり、次話から本格的に明日香の人間界でのお話&澪との対決が始まります(ぉ)







残すは後2話、頑張って書いていきたいと思っております。
では。

WASYAさんより後編その1を頂きました〜。 ついにアスカが下界にいくときがきましたね〜。
ついに澪ちゃんを悪役にするときがきましたねぇ( ̄ー ̄
澪ちゃんの悪役を(笑 楽しみにしております。
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