山田方谷
父の遺訓
「訓戒一三箇条」 1、母への孝養をつくして昼夜怠らぬこと。 1、弟の教育に油断しないこと。 1、朝は六時に起き、その日やらなければならない仕事を検討し、仕事を終えたら 自分の修行をおこたらない こと。 1、夜は一○時に床に就き、学問修行と家の仕事の他に、無駄な夜更かしはしないこと。 1、先祖をうやまい、祭典を怠らないこと。 1、勤倹質素を守り、家庭を安らかにし、また米穀や銀子(お金)の出し入れに関して、酷薄(残酷で薄情) な計らい(処置)をしないこと。 1、容姿はきちんと整え、言語はまじめで嘘をつかずに、徳をつみ、行いに励むこと。 1、飲食、衣服、器具などの無益な趣味に心を用いないこと。 1、賭博やみだらな歌や酒宴遊興などの戯事に無駄なお金を使わないこと。 1、男女のあいまいな間柄には、とくに警戒すること。 1、悪友と交遊し、利益に誘われ、欲に心をくらまさぬこと。 1、郷里に困窮した人や病人がいれば、心を込めて尋ね、交情を篤くして睦みあう心がけを忘れないこと。 1、家の内外の掃除や家屋の破損に心を配り、火のもとに油断しないこと。 右一三箇条をかたく守り、家政を整え、慈母への孝養と幼弟の撫育とに専心し、孔子の教えを宗とし、先 賢の志に従い、学業の道に怠ることなく日夜励むこと。 |