「タイ」と聞いてまず頭に浮かんだものは,恥ずかしながらキックボクシングに像,キングコブラ,水上マーケット,テレビで見たことのある山岳民族(メオ族),トム・ヤン・クンに代表される辛いタイ料理。
「マレーシア」と聞いて頭に浮かんだものも,これまた恥ずかしながら,ゴムの木そして熱帯雨林のジャングル,家電製品やパソコン機器に書かれている made in malaysia の文字,カレー,たれ下がった形の細長い地図。
今回のタイ・マレーシア教育事情調査の通知をいただく前までは,この程度の認識しかなかった2カ国である。その後,出発までの数ヶ月間,いろいろな角度から2カ国の情報を収集してみたところ,改めて自分の無知さを恥じるとともに,出発の日が待ち遠しくてたまらない毎日となった。そして,実際にバンコクに降り立って,そのすばらしさを身をもって感じることができた。
東洋一華やかな街バンコク。教育制度も著しい進歩を遂げていた。チットラダー校の先生がおっしゃった「バンコクはタイではない。外国です。」の言葉が強く印象に残っている。
また,マレーシアにおいても「2020年を目標に先進国入りを目指す。」といった政策が国全体の目標となって広がり,今まさにクアラルンプルは建設ラッシュで,超近代都市になりつつあった。
2カ国とも一歩郊外に出ると,まだまだ未開発の地が多い国であるが,ことバンコクとクアラルンプルにおいては,凄まじい勢いを感じた。21世紀を担っていく子ども達の目には,純粋で生き生きとした輝きを感じた。
今の日本には停滞しているもの。日本人が,日本の若者達が失いつつあるものが,ここにはあると強く感じた。貧富の差や教育の差は,まだまだ大きい両国だが,必ずや近い将来,日本に追いつく時が来ると確信した。
このタイ・マレーシアでの教育事情調査の経験は,自分の人生そして今後の教育活動において,非常に大きな意味を持つこととなった。この貴重な体験を糧に,今後一層教育に対して謙虚で前向きな姿勢でありたい。
マレーシア国際空港で,落ちていく夕日を見つめながら,教育事情調査を終えた充実感と一抹の寂しさを感じつつ,必ずや先進国入りしたマレーシアの姿を確かめに,20年後この地を訪れることを秘かに誓った。
今後のタイ・マレーシアの教育及び国全体の発展を見守りながら,事あるごとにあの日の思い出に浸りたい。
最後になりましたが、貴重な勉強と体験をする機会を与えてくださいました福武教育振興財団に、また今回同行させていただいた調査団員の諸先生方、そしてアジアコミュニケーションズの松井社長さんに感謝の意を表したいと思います。本当に、お世話になりありがとうございました。