HACCPシステムによる衛生管理について
 食を取り巻く環境は、近年大きく変化しており、食のグローバル化、国内における輸入食品の増加、外食・中食のニーズ拡大等食形態の変化、健康志向の高まりによる健康食品の利用の増加、広域的な食中毒やO157等による深刻な食中毒の発生、異物混入等による相次ぐ自主回収の報道等によって、消費者の食の安全に対する関心が一層高まっています。
 一方、毎年海外からの旅行者が増加しており、2020年に開催予定の東京オリンピックを契機として、更に多くの旅行者が日本を訪れ日本の食を堪能されることが予想されます。
 こうした状況にあって、国は、国内で生産、製造、加工等される食品の更なる安全確保、輸入食品の一層の安全確保、食品衛生管理の国際標準への整合化等を目的として、平成30年に国際標準の食品衛生管理手法である「HACCPシステムによる衛生管理」を制度化する法改正作業を進めています。
 国や地方自治体の行政機関、食品業界団体、公益社団法人日本食品衛生協会(以下「日本食品衛生協会」という。)では、HACCPの普及推進を目的に関連事業を推進するとともに、HACCPを普及する上で重要な役割を担う人材育成等を目的とした各種講習会等を開催しています。
 また、国は今後予定している食品衛生法改正の概要の周知に向けた説明会の開催等を実施しています。(当協会ホームページの「新着情報」をご覧ください。)
 一般社団法人岡山県食品衛生協会では、国や地方自治体の動向、公益社団法人日本食品衛生協会が発する情報の提供に努め、会員の皆様をはじめ食品等事業者のHACCPシステムによる衛生管理の取組を応援します。
 
1 HACCPとは? 
 NASA(アメリカ航空宇宙局)において、宇宙食の安全性確保を目的に開発された管理手法で、食品の製造・加工工程のあらゆる段階で発生するおそれのある微生物汚染等の危害要因をあらかじめ分析(HazardAnalysis) し、その結果に基づいて、製造工程のどの段階でどのような対策を講じればより安全な製品を得ることができるかという重要管理点(CriticalControlPoint)を定め、これを連続的に監視することにより製品の安全を確保する衛生管理の手法です。
 危害要因分析重要管理点の英語表記の頭文字をとってHACCP(ハサップ、ハセップ等呼称は様々です)と表現しています。

 この手法は国連の国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関である食品規格(コーデックス)委員会から発表され、各国にその採用を推奨している国際的に認められたものです。
 HACCPシステムを活用した衛生管理の概要については、厚生労働省のリーフレットをご覧ください。

 厚生労働省のリーフレット(pdf)

 
2 HACCPシステムによる衛生管理の制度化の概要は?
 平成30年に国会への法案提出が予定されている食品衛生法の改正において、国は食品の製造、加工、調理、販売を行う食品等事業者に対し、コーデックスのガイドラインに基づくHACCPの7原則を要件とする基準(A基準)を原則としつつ、小規模事業者や一定の業種については、コーデックスHACCPの7原則の弾力的な運用を可能とするHACCPの考え方に基づく衛生管理の基準(B基準)によることができる仕組みの導入を予定しています。
 また、生産から食卓までのフードチェーン全般にわたって、例外なく導入する方向性が示されています。
3 A基準が適用されるのは?
 と畜場、食鳥処理場及び一定規模以上の食品等事業者に適用される見込みです。これ以上の具体は示されていません。
4 A基準の内容は?
 コーデックスのガイドラインには、@危害要因分析、A重要管理点の決定、B管理基準の設定、Cモニタリング方法の設定、D改善措置の設定、E検証方法の設定、F記録と保存方法の設定が7原則とされており、この7原則を要件とするHACCPシステムがA基準です。
 これについては、厚生労働省が作成した手引書やモデル例をご覧ください。

  厚生労働省が作成したHACCP導入のための手引書 ・ モデル例
5 B基準が適用されるのは?
 小規模事業者、提供する食品数・メニューの変更頻度が頻繁な業種、一般衛生管理の対応で管理が可能な業種等に適用される見込みです。これ以上の具体は示されていません。
6 B基準の内容は?
 製造や加工等の工程や特性が異なる様々な食品の製造工程等の管理について、コーデックスHACCPの7原則の弾力的な運用の中身をわかりやすく簡潔にお示しすることはできませんが、「食品等事業者団体による衛生管理計画手引書策定のためのガイダンス(平成29年3月17日付け生食監発0317第3号)(pdf)」「同ガイダンスの一部改正(平成29年6月22日付け生食監発0622第1号)(pdf)」に基づき、業界団体において業種ごとに手引書が作成される予定です。この手引書が参考になるでしょう。
 様々な業界団体が手引書作成に尽力されている中で、日本食品衛生協会は、食品等事業者の大多数を占める小規模飲食店向けの手引書を作成しました。同手引書は、日本食品衛生協会のホームページや厚生労働省のホームページにアップされていますのでご覧ください。

 日本食品衛生協会のHACCPに関する情報
 業界団体が作成した手引書(小規模な一般飲食店(B基準)等)
 
7 A基準の適用範囲とB基準の適用範囲の具体は?
 3に示したA基準が適用される事業者や5に示したB基準が適用される事業者の説明では、不明確でどちらが適用されるのかわからないとお考えの事業者も多いと思われます。今回予定されている食品衛生法の改正には営業許可を必要とする業種の見直し等も併せてされており、現在のところ業種の明確な線引きは示されていません。
 また、事業規模についても現在のところ数量的な線引きが示されていません。今後こうした線引きが示されたら情報を掲載したいと考えています。
8 HACCPシステムによる衛生管理を導入するにあたって認証取得等が必要ですか。?
 HACCPシステムの導入を現在大手食品等事業者に普及しているHACCP認証の取得と勘違いされる方がいますが、認証を取得しなければHACCPシステムを導入したことにならないわけではありません。
 国が義務化を予定しているHACCPシステムによる衛生管理において、HACCPの認証取得を求めるとの説明はありません。
 なお、こうした勘違いは、自社製品の一層の安全確保や国内外での商取引上のメリットを考慮し、国際的に普及しているISO22000やFSSC22000等の食品安全マネジメント規格や食品等事業者の業界団体が運営するいわゆる業界HACCP等の認証を取得するケースが増加していること等に起因すると考えられます。
 
9 HACCPの普及、定着はどのように進められるのでしょうか?
 大多数を占める小規模事業者に、余りなじみのないHACCPシステムによる衛生管理を定着させるのは容易ではありません。そこで、HACCPシステムによる衛生管理の定着に向け、国、地方自治体、業界団体がそれぞれの立場で役割を果たすことになっています。
 国の役割:HACCP導入手引書やモデルプランの作成。業界団体の手引書作成への支援
 地方自治体の役割:食品衛生監視員による監視・指導・助言
 業界団体等の役割:個別の食品・業態ごとに手引書を作成
10 HACCPの制度化に関する法改正の状況は?
 平成30年3月13日にHACCPの制度化を含む食品衛生法の改正法案が厚生労働省から国会に上程されました。改正法案が国会で可決されますと、HACCPの制度化に関する部分の施行は公布後2年を超えない範囲内において政令で定める日となっており、経過措置として施行日から1年間の猶予期間が設定されています。
 つまり、平成33年に完全施行される見通しです。

※HACCPに関するその他の情報
 厚生労働省のHACCPに関する情報
 農林水産省のHACCPに関する情報 
 岡山県のHACCPに関する情報