春と夏の交わる季節の夜に          2001/05/20


流浪のシンガーソングライターは
アジアの旅を語る
安ホテルで出会った
悲しい娘の魔法の呪文は
「どうってことないさ」
 
手垢の付いた希望
約束された涙
ありふれた裏切り
貧乏神はいつも
お人好しを装って近付いてくる
処方箋はお決まりの
「どうってことないさ」
 
ライブハウスを出て
せつなく宙を仰げば
真上の空の闇が海と出会う彼方
この町と同じ顔をしたアジアがある
 
 

 
 
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