影のように           2003/06/27


少しだけ黙り込んでいたくて
地べたにしゃがみ込む
逃げ出したい気分に浸る束の間
 
うつむいた清らかな路地裏を
午後の日射しが冷酷に切り取る
まぶしい栄光を影が縁取れば
路地裏を歩く男の頬には古い傷痕
そして 男のポケットには拳銃
 
田舎町の商店街にも影はあり
町を守る男たちは友情の鎧をまとう
胸の奥には悲しい愛もあり
かき鳴らす情熱のアコースティックには
ギター自身の影
 
過ぎ去る時の流れの岸に
いつまで立ち尽くしていられるだろう
老いゆく男たちはただ見つめているだけ
守り抜ける永遠はない
 
 

 
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