負けないで          2002/02/09


誰の手にも触れられたことのない
清楚で無垢な言葉ではなく
賢者だけに許された
難解な表現でもなく
本当は誰もが知っていて
つい忘れてしまっているような
そんな普通の言葉で
君を抱きしめたい
 
大きな不安の前で立ちすくんでいるとき
ありふれた悲しみで
小さな自分を噛みしめているとき
高名な哲学者の
まるで物語のような長い詩ではなく
一度耳にしただけで覚えてしまって
ふと暗唱できるような
そんな短い言葉で
君を抱きしめたい
 
 

 
詩集に戻る