道連れを強いた夢の骸が いま膝の上に横たわっている その冷えた身体を優しく撫でることのほかに 僕に何が出来るだろう 闇夜を切り裂くおまえの遠吠えに かつては真摯に祈りを捧げた信者たちでさえ あの日の興奮を覚えている者は誰もいない 苔むした虚しさだけが 犯した失敗のすべてを雄弁に物語る 正直に言おう 僕はおまえに謝らねばならない 安物のペテン師のように希望を持たせ 欺き続けたことを 本当は石ころなのに まるで希少な宝石か何かのように ひたすら磨かせ続けてしまった アコーディオンは旋律を咽び 少女は酔いどれの前で懸命に歌い踊ったが MARTIN-D-42AJ はハードケースのなかで眠りこけていた 道連れを強いた夢の骸に せつなく遣る瀬なくこうべを垂れていると 鉢巻をした薄汚れたトラックが 黒い煙を吐いて走り去っていった その尻には商売繁盛のステッカー 半分はがれたままで いいように風にもてあそばれているではないか 道端の老いた紳士は 黄ばんだ歯を噛み締め思わずこぶしを握り締めたが 猫は屋根の上でニヤリと口元をゆがめ 短くひと声 みゃーご と鳴いた |