流氷         2007/12/28


歩き続けてきたはずだが
本当にそうだったかと
ふと疑問に包まれた
「お前は待っていただけだ」という声が聞こえたような気がした
そうなのか
何かを待ちながら
流されていただけなのか
 
ゆっくりと流氷は動く
大自然の大いなる意志に従い
凍てついた大地すら厳かに削る
海虫や海獣のたわむれ
それらは都合のよい御伽草子
 
「お前は待っていただけだ」という声が聞こえる
もしそうなら
いっそこれからも待ち続けようか
目の前を時が流れてゆく
その風景を見ていようか
 
 
※ 海虫はクリオネを、海獣はアザラシやトドをイメージしています。
 
 

 
詩集に戻る