歩き続けてきたはずだが 本当にそうだったかと ふと疑問に包まれた 「お前は待っていただけだ」という声が聞こえたような気がした そうなのか 何かを待ちながら 流されていただけなのか ゆっくりと流氷は動く 大自然の大いなる意志に従い 凍てついた大地すら厳かに削る 海虫や海獣のたわむれ それらは都合のよい御伽草子 「お前は待っていただけだ」という声が聞こえる もしそうなら いっそこれからも待ち続けようか 目の前を時が流れてゆく その風景を見ていようか ※ 海虫はクリオネを、海獣はアザラシやトドをイメージしています。 |