陽当たりのよい家の庭でまどろむ犬たちは 忍び寄る虎の策謀を知らない 統率された狐の群れ 家々の軒にはお祭り提灯 踊る野猿 歌う美少年 インターネットに入るモモンガー 従順な微笑みを躾けられた檻の中の美少女 詩を書く猫 貧困と放漫と理不尽と我欲の波間に 泥船は浮かび続ける この悪臭を放つヘドロの海を 予言者は無限の生命の源と言い放って立ち去り ただ老いさらばえた一団の黒幕だけが 雨に濡れた坂道の石畳に 人知れず一斉につまずいた奇妙な夕暮れ ああ 新世紀よ 森にたちこめる悠久の闇の奥に閉ざされた声なき木々の雄叫びを聞け 願わくば海の底まで届く光の剣(つるぎ)で 枯れ野を疾駆する山姥の喉笛を貫け |