海風に       2013/08/25


さあ立ち去ろうと
気ままにきびすを返せば
カモメたちの列は前途を斜めに横切り
舗道ではセグロセキレイが
まるで恋人たちのように踊りはじめてしまった
ガードレール越しには
まぶしい砂浜
しぶきに洗われる岩礁
荒ぶる群青の波
流れる雲
微かな気配を感じて
ゆっくりと僕は
意志をさぐるかのように深呼吸をする
 
カモメはただ風の道に浮かび
小鳥たちは低空の虫を捕食しているだけ
行きずりの旅人には
はじめから興味など無い
勝手な感情移入をして
センチメンタル・ジャーニーをもてあそぶのはやめにしてくれ
 
海風が頬を撫でる
焼けた北の大地には
心地よい贈り物だろう
ウエスタンハットのひさしを下げて
困ったように微笑んでみた
 
 

 
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