さあ立ち去ろうと 気ままに カモメたちの列は前途を斜めに横切り 舗道ではセグロセキレイが まるで恋人たちのように踊りはじめてしまった ガードレール越しには まぶしい砂浜 しぶきに洗われる岩礁 荒ぶる群青の波 流れる雲 微かな気配を感じて ゆっくりと僕は 意志をさぐるかのように深呼吸をする カモメはただ風の道に浮かび 小鳥たちは低空の虫を捕食しているだけ 行きずりの旅人には はじめから興味など無い 勝手な感情移入をして センチメンタル・ジャーニーを 海風が頬を撫でる 焼けた北の大地には 心地よい贈り物だろう ウエスタンハットの 困ったように微笑んでみた |