人の名前や花の名前、地名などが覚えられなくなってきたなと自覚して、歳はとりたくないものだなと思っていました。 そしたら、テレビが興味深い番組を流していたのです。 以下は、その内容の要約です。 >痴呆の本当の原因で多いのは、何かがわかってきた。 >それは、脳の廃用性萎縮。 >アルツハイマーなど、病的な原因の痴呆は、全体の10%程度でしかない。 >廃用性萎縮とは、わかりやすくいうと、頭を使わないことによるボケ。 >こうした若年性痴呆は、働き盛りの40代にもみられる。 >ばりばり仕事をこなしているようでも、同じことばかり繰り返している状態では、脳は使われていないから。 >知的作業であっても、パターン化した仕事の繰り返しに陥ってしまっていたら、それは単純作業と同じことだと。 >だから、鼻歌まじりに仕事ができるタイプは、かえって、結果的に、普段からほとんど脳を使っていないおそれがある。 >刺激を与えていないと、若くても呆けてしまうのだと。 その話には、僕にも思い当たるふしがありました。 大体みんな、30歳から40歳になるあいだに、メモを付けるようになるのです。 まわりのおじさんたちに、「そんなものを付けてるから覚えられなくなっていくんですよ」と笑っていたのに。 紙に書いたスケジュール表を見ながらでないと、何か忘れてるみたいで、もう自分に不安で。 ふと思い付いたアイデアなども、その場でメモしておかないと、二度と思い出せなかったりしますから。 職場で密かに語り伝えられているおそろしい伝説も、いくつか聞きました。 我が社の先輩たちで、人に知られた読書家だった某氏も、自他共に認められていた某切れ者も、退職してほどなく、みんな見事に呆けていったというのです。 退職して、おそらくは、ああ、もうこれでゆっくりできるんだと、そう思ってしまったのでしょう。 僕も考えることは嫌いじゃないけど、夢中で考え続けていると、あとに相当な疲労感が残ります。 できることなら何も考えないでいたいし、休みの日など、ぼーっとして過ごすのは至福の時間帯でもあります。 退職したら、何も考えることなく、こころ穏やかに、悠々自適……。 よく理解できます。 でも、脳も、実は筋肉と同じだったのです。 使い続ける必要があるのは、足腰だけではなかったのです。 トレーニングを続けないと、衰えてしまうものだったとは。 ムッシュ |