卓球流打撃論     2000/05/18
   
 
スポーツでいえば、一番長いキャリアがあるのは卓球です。
小学生時代、自宅近くの警察の道場に忍び込んではラケットを振っていました。
それが始まりで、以来、見よう見まねで、自分のスタイルに僕なりに様々な工夫を加え、磨き上げてきた変則なまくら我流ピンポンですが、恥ずかしながら、20歳代後半のころは、それなりにちょっとした使い手だったといっていいでしょう。
 
野球をやっていて、バッターボックスで思ったのは、これは以外と卓球に似ているなということでした。
バットは両手で握っているわけですが、僕の気持ちとしては、打つのは、右手。
右手の手のひらだけで、卓球のラケットで打つような感覚でバットを振っていたからです。
「左手一本で振る感じで打ちなさい」
そうコーチする人たちの方が圧倒的に多いわけですが、僕にいわせたら、それはスラッガーの場合の話です。アマチュア野球であっても、草野球は草野球なりに引っ張る打法の強打者さま用の理論なのです。
どちらかといえば非力な、ヒット狙いの打者としては、ボールを長く見ることができる右打ちに限ります。
引っ張ると、どうしても力みます。だから、僕の狙いはいつもセンターから右方向。
そんな打ち方をしていると、本当に、バットが卓球のラケット感覚になってくるのです。
右打ちは、卓球でいうと、相手のバックにコントロールした球を返すイメージです。
 
ただ、豪速球投手に対しては通用しません。
速いボールを投げられると、ボールをよく見て捕らえるというやり方は至難の業です。草野球レベルでは、なかなかむずかしい。
では、僕はどうしていたか。
速球派の投手と対したときは、僕が考えているのはタイミングだけ。
速い球は、どうせ見えないわけです。ボールを見て打つというわけにはいきません。だから、僕はただタイミングだけを計りながら、大体このあたりかなという付近を狙って、バットを振るのです。
ストライクが来る確率が高いカウントに、大体このあたりかなというところを、ブンッと振るだけです。
それでも、お察しのとおり、まあ普通は、かすりもしません。
ただ、そうはいっても一応はボールを見て振るわけで、タイミングさえ合っていれば、ボールがストライクゾーンに来れば、たまには当たります。
そんな感じの打法で、年間の打率は0.270くらいでした。
要は、右手のひらで、ライトに、コントロールショットを返すイメージ。
 
テニスもかじりましたが、卓球と似ているようで、テニスの場合はむしろ遠い感じがしました。
テニスは、打つときにラケットの面に角度を付けるのが、これが意外とむずかしいのです。グリップからラケットの面が離れている分、手のひらで打つ感覚とは隔たりがあります。
そうなると、ボールの勢いに負けない、しっかりとした角度を保つことが大切になります。でも、それは意外と厄介なのです。
バットは、その点、面がありませんから。丸いから、どこに当たってもいいんです。
タイミングだけ外さないようにして、右手で叩く感じで、相手のバック(センターから右)に。
これで、本当に、3割近く打てます。
草野球で、もうひとつレベルをあげたいと思っている人、ぜひ試してみてください。
ただ、残念ですが、卓球の腕がある程度以上のレベルに達していないと、僕のいってることが理解できないと思いますよ。
理解できても、実践できないでしょう。
でも、だからといって、バッティング技術を上げるために、卓球場に通うというのもしかし、ちょっと変だったりして。
 
 
 


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