CDアルバムの録音が終わったばかりの、つくばねトリオのGUYさんと歌い方が似ていると娘から指摘されて、思い出しました。 ああ、多分それは、フォークの節のことだな、と。 ♪ 舗道ではあー 首の ないいー 小鳥 たああちがー わあれ先にとおー さわああぎたあててー いるうー 【友部正人=大阪へやってきた】 これがタイトルにもなった彼のファーストアルバムには、高田渡や西岡たかしも参加しています。 いうまでもなく、節は、吉田拓郎にもあります。 『旅の宿』など、わかりやすい例でしょう。 南こうせつも、すぐに思い付くだけで、『加茂の流れに』や『ひとりきり』や。 僕らはその節に酔い、それがフォークだとも思い、自然に口ずさんでいました。 そういえば……と、冷静になると不思議です。 『悲惨な戦争』や『五百マイル』、『花はどこへ行った』など、トラッドフォークの時代には、そんな節はありませんでしたよ。 高石友也や岡林信康の時代にも、なかった。 節と同列に論じていいかどうかためらわれますが、短いフレーズの末尾を細工するのが得意だったのは、西岡たかし。元々ジャズをやっていて、フォークの世界に入ってきた人と理解しています。 (初期のフォークシンガーはメッセージが中心で、音楽的な部分はお世辞にも……。だから岡林のレコードも、ハッピーエンドと出会う前はアレンジは西岡たかしが担当していたように思いました。) 本格的な日本語フォークの時代になっても、もちろん、節など入れないで自然に歌う人たちもいましたよ。でも、節派は少なくはありませんでした。 冒頭の友部正人や加川良など、高田渡の一派も……。 有線放送のアナウンサーを対象に、全国アナウンスコンクールというのがあり、その、県予選の審査に関係したことがあります。 毎年のことですが、上手な方から3人くらい並べると、必ず1人は、アナウンスに変な節のある人がいました。 上手いんだけど、節がある。それが気になりました。 審査員たちも、「惜しい」を連発します。 聞いていると、とことなく、観光バスガイドさんのしゃべりのような、独特の節回しに似ています。 最近は、コンビニなどの店員さんのあいさつにも、ある種の節が定着してきました。 どこに行っても、同じ調子の節を耳にします。 ♪ ありがとう\ご\ざ/い/まぁ/ーす。 という、あれです。 あれを聞いていると、昔々その昔の、花魁の郭言葉を連想してしまいます。 統一はとれて、田舎臭さや貧乏臭さは消すことが出来ますが、事務的で、心は感じられません。 抜け殻が、笑いながらしゃべっていますよ。 どきっ。 フォークの節も、もしかして、そういう感じなのでしょうか。 ちがいますよね、絶対。 う〜ん、しかし……。 謎です。 ドキ、ドキッ! |