道路の歩き方〜示談金は払えますか〜    2005/05/23
 
 
 飛行機は落ちたら命がないから乗らないんだというと、そんなことをいってたら道も歩けないよと笑われます。確かに最近は、道も危険でいっぱいです。
 データの取り方にもよるだろうけど、道を歩いてるほうが飛行機に乗ってるより危険だなどというロジックだって作れるかもしれません。横断歩道を渡っているときなど、たとえ信号が青であっても、左右によく注意を払って進まないと命を失いかねないご時世ですから。
 
 しかし、何よりおそろしいのは、自分が加害者になる危険の方でしょう。そんなこと、ありえないと思ってますか?
 ありえないと思いますよね。でも、たとえば、自転車で走行中にお年寄りのふらふらした自転車と接近遭遇した経験はありませんか。時には猛スピードの女子高校生の自転車とだってすれ違いますよ。そんな時、何かのはずみで接触したり、接触しなくてもお互いに衝突を避けようとしてよろけたり、運が悪いと転倒したりして怪我をしてしまったとしたら…。非接触事故だって、事故は事故です。当事者の一方が怪我をしたら警察を呼ばなければいけないし、知らん顔して立ち去ったら逃げたことになり罪が重くなりますよ。悪いことに、お年よりはすぐに骨折したりもするのです。
「あーら○○ちゃん、そっちへ走っていっちゃダメでしょ」
 そんなネジのゆるんだ若い母親の声を背中に聴きながら、幼児がうれしそうに突進してくることだって考えられます。
 かくして、不幸にも相手が負傷したとしたら、あなたはもう立派な加害者です。重ねて不幸なことに、自転車には自賠責保険も対人補償無制限の任意保険も付いていません。賠償金は全額自腹になります。
 
 もちろん怪我をした相手にも責任はあるでしょう。あなた1人が一方的に全責任をかぶる必要はありませんとも。当事者同士よく話し合って、お互いの過失割合を決めればいいのです。もちろん、その部分には警察はタッチしません。民事不介入ですから。当事者で話し合って、過失割合を決め、自分の過失相当分の被害額を支払うことになります。
 でも、簡単には決まらないかもしれませんよ。こういう問題について特別な知識があるわけでもない素人同士ですから。責任というものの考え方すら知らない者同士が、おたがいに疑心暗鬼になって、交渉すればするほどどんどん話がこじれていったりして。
 お気の毒なことです。
 
 自転車に乗ってるときだけでなく、歩いてるときだっておなじことです。自転車に乗った自信過剰な高齢者や、自由奔放すぎる腕白坊主さえ歩道にいてくれたら、こっちが歩行者でもたちまち加害者になれますから。
 ホント、気をつけてくださいよ。
 
 
 

 
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