ある母子家庭の子についての、mixiでの話題です。 その子、凄く成績もいいらしく、県立のトップ受験高校を狙いたいんだけど、そこを狙ってる人は全部塾に通うらしい... だから、自分も塾にやらせて欲しいと言ってきたんだってぇ... 自分の娘も離婚していて現在母子家庭。グランマとしても複雑な思いを抱いているのよ、という話題に対する僕のレスポンスです。 グランマの孫くんは、この春から中学生。まだ先の話のような気もするんだけど。(^^) 唐突ですが‥。 尊敬していた大学の先輩は、四国の島の母子家庭の長男でした。 僕が大学1年のとき、先輩は3年生でした。 彼の言葉は、胸を打ちました。 「大学に行かせてくれと母親に頼んだら、ダメだといわれたんだ。妹もいたから、母親から、あんたが一家の柱になって早く働いてほしい、といわれてなあ」 結局、時間をかけて話し合い、仕送りは一切要らないから、という条件で認めてもらったのだそうです。 奨学金はあっても、それだけで4年間は送れません。 まず下宿の男の子の家庭教師を引き受け、下宿代を只にしてもらいました。 でも、授業料も稼がないといけないし、食費も必要です。 彼は、アルバイトは、単価の高いもの、そして労働時間が夜のものを中心に選んでいました。 夜のバイトというのは、大きなクリーニング屋で夜中にボイラーを炊く係(どんなことをするのか聞いてませんが、要するに灼熱地獄らしい)や、工業地帯のパイプラインのパイプを叩いて回る徹夜の仕事(血管のコレステロールみたいなのが付かないように、24時間、叩いてるらしい)など。 あと、夏場の、イグサの刈り取り人夫。 当時は、日当3千円なら単価の良いバイトだった時代、イグサ狩りは、1万〜1万2千円だったんです。 おまけに、イグサ狩りの期間中は農家に住み込みで、食事は無料の食べ放題。 金に目がくらんだ柔道部の猛者が1日目の途中で逃げ出す重労働です。 よく働く人は、その人だけの特別単価もあるという噂で、その先輩は、シーズンになると農家から案内が来て、毎年行ってた。 ま、タフな肉体があったればこそです。 そんな先輩でも、昼間のバイトも必要で、授業にはなかなか出られません。 同級生に、代返を頼み、授業のノートもとってもらって、それで自分で勉強して試験を受け、経済学部でしたが、成績優秀で、マツダに入社したんです。 当時は僕は無茶苦茶に尖がっていた時代で、先輩にも逆らってばかりでした。 先輩は美術部の部長だったけど、絵は下手で、人間性で部長になった人だったんです。 対して、僕は1年生だけど、誰よりも絵では実力が上だという自負があり、驕りがあり、傲慢で。 多分、その先輩の凄さに圧倒され、嫉妬してたんです。 でも先輩は、いつも優しく笑いながら僕を可愛がってくれ、高倉健の任侠映画に連れて行ってくれたりもしました。 僕が4年生のとき部室に訪ねてきてくれて、 「おまえ、丸くなったなあ」 と言ってくれた言葉が忘れられません。 2002年、僕が同窓会の案内を出したとき、前年の秋に、奥様と旅行中に急性心不全で亡くなったとの返事で、愕然としました。 若いときの無理がたたったのかなとも思いましたが、わかりません。 長いレスになりました。 高校に入るためだけに限れば、塾は必須とは思いません。 出題範囲は限られており、各中学で使っている異なる教科書の、共通の部分から入試問題を作成しないと不公平になるということですから、自分で頑張れば問題はないと思います。 ただ、大学入試は違います。 大学入試というのは、無数のどんぐりたちに差をつけるために、高校の授業では見たことも聞いたこともない問題も当然のように出題される世界です。 そういう、高校の授業では習わない分野の問題をたくさん知っていた方が、有利なんです。 でも、先輩みたいな男も、かつてはいたということです。 地方の国立大学のレベルなら、塾や特別な会に入ってなくても戦える。 問題は、その時の、強い意志。 でもその、強い意志ってやつが、一番むずかしいんですよね。 |