いわずとしれた、ボブディランの出世作品。 初めて聴いたのは、というか、世界的にヒットしたのは、ピーター・ポール&マリー(PPM)の歌の方です。 ♪ ハーウメニー ロード マスター マーン ウォークダン ビフォー ゼー コールヒム ア マン これがわからなかった。 How many road must a man walkdown before they call him a man. なになに、they call him a man……? 知らなかったけど、このメロディーは黒人霊歌をアレンジしたというか、参考にしたというか、ボブディラン自身がそういってたと、当時の彼の仲間がテレビで話していました。 「男はManと呼ばれるまでにはいくら歩けばいいのだろうか……」と歌うわけですが、この男というのは、実は「黒人の男性」という意味だったと、これも同じテレビ番組で、別の人が解説をしていました。 黒人男性は、たとえ成人したあとでも社会から「一人前の男」とは見られなくて、いつまでも「ボーイ」と呼ばれていたのだと。 つまり、どれだけ苦労したら、ひとりの人間として評価してもらえるのだろう、という意味なのだと。 関係者たちは、初めてこの歌を聴いたときには、「こんなものが売れるのか」と思ったそうです。 あるプロデューサーは、「メロディーはいい。歌詞を変えろ」といったとも。 要するに、男が女が恋がどうしたという歌詞に変えさえしたら売れると。 事実、ボブディラン自身のレコードはあまり売れていません。 ヒットしたのは、PPMのもの。 コーラスが付いていて、ギターが綺麗だったですから。 メインボーカルがマリーだったし。 学校の音楽の時間のように、お行儀良く歌っていましたよ。 PPMも僕らも。 ああ、意味も分からずに、歌っていました。 ムッシュ |