風に吹かれて     2000/01/15
 
 
いわずとしれた、ボブディランの出世作品。
初めて聴いたのは、というか、世界的にヒットしたのは、ピーター・ポール&マリー(PPM)の歌の方です。
 
 ♪ ハーウメニー ロード マスター マーン ウォークダン
    ビフォー ゼー コールヒム ア マン
 
これがわからなかった。
How many road must a man walkdown
before they call him a man.
 
なになに、they call him a man……?
知らなかったけど、このメロディーは黒人霊歌をアレンジしたというか、参考にしたというか、ボブディラン自身がそういってたと、当時の彼の仲間がテレビで話していました。
「男はManと呼ばれるまでにはいくら歩けばいいのだろうか……」と歌うわけですが、この男というのは、実は「黒人の男性」という意味だったと、これも同じテレビ番組で、別の人が解説をしていました。
黒人男性は、たとえ成人したあとでも社会から「一人前の男」とは見られなくて、いつまでも「ボーイ」と呼ばれていたのだと。
つまり、どれだけ苦労したら、ひとりの人間として評価してもらえるのだろう、という意味なのだと。
関係者たちは、初めてこの歌を聴いたときには、「こんなものが売れるのか」と思ったそうです。
あるプロデューサーは、「メロディーはいい。歌詞を変えろ」といったとも。
要するに、男が女が恋がどうしたという歌詞に変えさえしたら売れると。
事実、ボブディラン自身のレコードはあまり売れていません。
ヒットしたのは、PPMのもの。
コーラスが付いていて、ギターが綺麗だったですから。
メインボーカルがマリーだったし。
学校の音楽の時間のように、お行儀良く歌っていましたよ。
PPMも僕らも。
 
ああ、意味も分からずに、歌っていました。
 
 
                                 ムッシュ
 
 


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