むかつくぜ!     2000/03/10
   
 
室井滋という人のことを、男だと思っていた時期がありました。
実は女性だと知ったときは新鮮なショックを感じました。
以来、どこか気になる、独特の女性らしさを持っている人だから、いいなあと思い続けています。
あの性格は、男だったらそれほど珍しくもないかもしれませんが、女だから、おもしろい。
 
いつものようにブックオフに立ち寄り、いつものように百円コーナーで手にした本が、
『ホーキング、宇宙を語る』−スティーヴン・W・ホーキング−
『ねころんで ねこ』−北山竜−
『「気」には無限の力がある』−山口令子−
『むかつくぜ!』−室井滋−
の4冊。
いつものように、ジャンルはグチャグチャです。
そのなかで、家に帰って最初に広げたのが、『むかつくぜ!』でした。
 
女だてらに大人ゆえの豪放さと、少年のような悲惨さ。
「女だてらに大人」という表現も変だけど、無理矢理短い言葉に押し込めてしまうなら、いまふと、こういう感じかなと思いました。
吠えるけど、吠え方に、どこか隙がある。
そんなんじゃダメだよと、つい、思ってしまうけどね。
その、緻密さにかけるところが彼女の味なのかなと思わせて、いいんです。
 
疲れているときとかに読むと、少しは元気が出るかもしれません。
腹立たしいときとかに読むと、どんどん勢いが増大してきて、非常に気分が良くなったりします。
彼女の怒った顔、むくれた顔など思い浮かべながら、笑っているのです。
 
タイミングよく、いい本に出会いましたよ。
もはや戦えないと思っても、そこでカッコつけるのが男。
「ここで逃げたら……」と呪文のように胸の内で呟きながら。
誰が喜ぶか考えたら、がんばりたくもないけど。
 
 
根性こめてノラしてたのに、
どうしてこんなことになってしまったのか……。
《暖かそうな部屋の窓べに女の人がいて、この猫は、彼女のお腹の上で強がっています》                   −(絵本)ねころんで ねこ−より
まったく。
 
 
                                 ムッシュ
 
 


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