最近、ある二代目社長さんとお話をしていて、ふと思い出した言葉がありました。 古人曰く、 親辛抱、子楽、孫……(自粛)。 その社長さんとは初対面でしたが、いかにも穏やかな物腰で、上品で、哀しいほどに紳士然としておられました。 真っ直ぐな心で、安心して付き合えるタイプです。 でも、夫に選ぶには少し心配。 ただ、こういうのは、僕らに背負わされた宿命かもしれないなと思いました。 おおよそ僕らの世代は、少なくとも僕の知ってる悪ガキたちは一様に貧しい少年時代を経験し、勉強は別に嫌いではなく、しかし金のために学び、その結果として、そこそこ計画通りに、人並みには豊かで安定した生活を手にし、子供たちを苦労知らずに育て……。 僕らは社長にはならなかったけれど、僕らの子供たちは、しっかり甘い考えが染みついた立派な二代目になってくれていますよ。 いつまでも自分らしさを求めてさすらう、若き人生の旅人たち。 なるほど。人はパンのみにて生きるにあらず。あるいは人間は、生き甲斐を求めて模索を続ける動物なのかもしれません。 僕だって身に覚えがないわけじゃないから、それは認めてもいい。 でも、わかってるんですか。 生き甲斐って、一体なんでしょうか。 熱病のような恋から覚めたとき、あなたはどんな行動をとるのですか。 生き甲斐だと思っていたものの化粧がはがれ落ち、その素顔を見てしまったとき、それでもそいつと一生付き合っていけるのですか。 その覚悟があるのですか。 それとも、「これはちがった」と捨てるのでしょうか。 ムッシュ |