自慢する訳じゃないけど、高校の時、もりたじゅんと僕は、先生に絵をズタズタにされてました。 先生の筆が、僕のパレットの上で僕とは違う色を作り、僕のキャンバスの上を走ります。その間、時々「なっ」と言葉少なに振り返り、簡単な説明が入るだけ。 いつしか、「はい」と小さくつぶやく僕の頬を、冷えた涙が伝います。 例えば、絵を見てほしいと言われることがあります。 教えるなどというと偉そうに聞こえますが、一応見るだけ見て、才能があるなと思う人には、意見ひとつ言うにも、つい力が入ります。 そういう場合は、ある程度高いところの話になりますから、人によっては辛辣な感じを受けるかもしれません。 でも、そう思われても仕方ありません。 いいところは率直にいいと認めるけど、ダメなとこはダメなんですから。 厳しい話になりますが、こういうことは、どんな世界でもあることでしょう。おなじだと思います。 僕の場合は、他人の絵をズタズタにはしませんが、新聞紙の切れ端など身近にある物を使って、絵のポイントに置いて見せたりして、その劇的な変化を実感させてあげます。 少し、やさしい。 最近は、自分ではあまり歌は書かなくなったのに、インディーズレーベルやアマ自主制作CDなど、たまたま色々な曲にふれる機会があって、絵とおんなじ気分で勝手な感想を口走らせてもらっています。 そして、そんなときは、お約束どおりシビアな口調になりがち。 もちろん、邪心などありません。批判的な部分があったとしても、それは真実、惜しいなあという気持ちを抱いてのことですから。 でもね、あとでそんな無遠慮な感想を整理しているとき、ふと、心が立ち止まることがあります。 おいおい、それ、嫉妬じゃないのか、と。 辛辣な感想を連ねたのも、本心から惜しいと思ったからだったはずなのに、歌というのは不思議です。何回か聴き込んでいってるうちに、こっちが魔法にかかり、気分逆転、良くなってくることがあるのです。 こういうのは困ります。 何だ、惜しいと思ってたはずなのに、結構いいじゃないか、となってしまうのですから。 やはり、嫉妬か? |