夢の総括    2002/03/24
 
 
夢について語ろうと思えば、少し心が痛みます。
僕らの夢はいつ終わったのか、まだ終わってないのか。
ひとつの夢が終われば、もう新しい夢を持つことは許されないのか。
夢とは何なのか。
 
「甲子園に出ることが夢なんです」と目を輝かせている人は、高校を卒業するとどうなるのでしょうか。
ひとつの夢が終われば、
その瞬間、燃え尽きてしまうのだとしたら、
夢とは、なんて罪深いものだろうと思います。
真剣にやった人ほど、全身全霊を打ち込んだ人ほど、
燃え尽きやすいのかも知れないけど。
でも、だとしても、
灰になるのは、まだ早いよといいたい。
だから、一生の仕事を、
安易な気持ちで決めないで、と。
本当のゲームは、ここから始まるんだから。
 
振り返って、いま僕は夢があるだろうかと自問すれば、あるような、ないような。
小説家になりたいとか、絵描きになりたいとか、もうそういう夢はないけど。
ただ、小説家にはならなかったけど、何本か小説は書き、多くの絵も描き、日常的にエッセーも書いています。
作品を売って生活してるわけじゃないし、別にずば抜けた才能があるとも思っていませんが、自分の作品を読み返していて、つい涙が出てくることもあります。
満足…というのとは少し違いますが、まあ、こういうスタイルも悪くないなと、そんな気がしています。
何も、歌が上手な人から順番にプロの歌手になっていくわけではないし。
夜の街のスナックには、アマチュアといってしまうのが失礼なレベルの、凄い歌手たちがうごめいていますよ。
彼らは、昼間は新聞記者や弁護士です。
つまり、歌はプロの歌手だけのものではないし、終わってしまった高校野球だけが、人生のすべてだなんてこともない。そんなはずはありません。
まだ何も終わってはいないのだと言いたい。
 
そういう意味では、僕自身の夢は終わったのか、続いているのか…。
それについては、いまはまだ総括したくない気分です。
 
 

 
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