夢について語ろうと思えば、少し心が痛みます。 僕らの夢はいつ終わったのか、まだ終わってないのか。 ひとつの夢が終われば、もう新しい夢を持つことは許されないのか。 夢とは何なのか。 「甲子園に出ることが夢なんです」と目を輝かせている人は、高校を卒業するとどうなるのでしょうか。 ひとつの夢が終われば、 その瞬間、燃え尽きてしまうのだとしたら、 夢とは、なんて罪深いものだろうと思います。 真剣にやった人ほど、全身全霊を打ち込んだ人ほど、 燃え尽きやすいのかも知れないけど。 でも、だとしても、 灰になるのは、まだ早いよといいたい。 だから、一生の仕事を、 安易な気持ちで決めないで、と。 本当のゲームは、ここから始まるんだから。 振り返って、いま僕は夢があるだろうかと自問すれば、あるような、ないような。 小説家になりたいとか、絵描きになりたいとか、もうそういう夢はないけど。 ただ、小説家にはならなかったけど、何本か小説は書き、多くの絵も描き、日常的にエッセーも書いています。 作品を売って生活してるわけじゃないし、別にずば抜けた才能があるとも思っていませんが、自分の作品を読み返していて、つい涙が出てくることもあります。 満足…というのとは少し違いますが、まあ、こういうスタイルも悪くないなと、そんな気がしています。 何も、歌が上手な人から順番にプロの歌手になっていくわけではないし。 夜の街のスナックには、アマチュアといってしまうのが失礼なレベルの、凄い歌手たちがうごめいていますよ。 彼らは、昼間は新聞記者や弁護士です。 つまり、歌はプロの歌手だけのものではないし、終わってしまった高校野球だけが、人生のすべてだなんてこともない。そんなはずはありません。 まだ何も終わってはいないのだと言いたい。 そういう意味では、僕自身の夢は終わったのか、続いているのか…。 それについては、いまはまだ総括したくない気分です。 |